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1. 釈迦三尊 (1)形態 @釈迦如来像を中尊として左右に脇侍像を配する。 脇侍の種類は一定ではなく、文殊菩薩と普賢菩薩、 梵天と帝釈天、薬王菩薩と薬上菩薩などの例がある。 A日本では左脇侍に騎獅の文殊菩薩、右脇侍に乗象 の普賢菩薩を配する例が多い。平安以降に文殊が 獅子に、普賢が象に騎乗する作例が現れる。 B現存する最古の作例は法隆寺金堂の三尊像になる。 (2)作例 @国宝:法隆寺金堂、法隆寺上御堂 A重文:興福寺中金堂、長瀧寺、圓教寺、承天寺 B単独:大報恩寺、深大寺、蟹満寺 2. 宝冠釈迦如来 (1)形態 @高い髻や毛筋の整え、涼やかな面貌。高髻を結い、 通肩の衲衣を着し、釈迦の定印を結ぶ。 A釈迦が宝冠をつけていた皇太子時代の姿と言われる。 又は華厳の説会での毘盧遮那仏を示したとも云う。 B形式上は密教の影響によるものと思われる。室町 以降は、主に禅寺で作造されている。 (2)作例 安国寺、尾張国分寺、方広寺 3. 清凉寺式釈迦 (1)形態 @三国伝来の釈迦、生きた仏(生身仏)。 Aガンダーラ式の著しい平行衣文、縄を編んだような頭髪。 B 阿弥陀信仰に対抗して鎌倉期に多くの模刻が作られた。 約70体が現存する。 (2)作例: 清凉寺、西大寺、奈良博、文化庁、金沢文庫、真福寺、 西明寺、 京都西明寺、三室戸寺 |
1) 開祖 智慧と慈悲の仏教は釈迦族の王子ゴータマ・シッダールタが紀元前五世 紀頃、悟りを得て開祖した。 2) 礼拝 当初礼拝の対象は法輪、仏足石等で仏像は釈迦の死後五百年後の一世 紀頃にガンダーラで初めて造像された。 3) 法衣 如来像は全身を覆う一枚の布(衲衣,大衣)を身体に巻き着付ける。 装飾品は身に付けない。 4) 三十二相 身体特徴を記す三十二相には粒の髪で表現される螺髪、頭の中央に盛り、 上る肉髻、眉間にある白毫、手足の裏の法輪、指の間の水掻きなどがある。 5) 誕生仏 この世において悟り、人々の前に現れ説法する応身仏となる。 釈迦は母親の右脇腹から生まれるとすぐに七歩あゆみ,天地を指して 「天上天下唯我独尊」と宣言した。この時の釈迦像が誕生仏と言われる。 6) 脇侍 左に文殊菩薩、右に普賢菩薩の事例が多い。他に、梵天と帝釈天、 薬王菩薩と薬上菩薩、十大弟子である大迦葉と阿難の例もある。 7) 霊山浄土: 霊鷲山は報身の釈迦如来が法華経を説いた浄土。 釈迦仏がここに常住して法を説く。 8) 釈迦如来の五印相:(印相図解1) (1) 施無畏印:右手を上げ指を伸ばし掌を見せる。 (2) 与願印 :左手の掌を見せ下に垂らす。(中指を折り出す) (3) 法界定印:腹前で両手の掌を上に向け左手を下に右手を 重ね親指を触れ合わす。 (4) 説法印 :両手を胸まで上げ、掌を前に向けて親指と人差 し指を合わせて輪を作る。 (5) 降魔印 :片手を下ろして地面に指を触れさせる。 |
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清凉寺式釈迦 |
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1. 阿弥陀三尊 (1)形態 @阿弥陀如来を中尊として左脇侍に観音菩薩、右脇侍に 勢至菩薩を配する三尊形式。観音菩薩は阿弥陀如来の 慈悲をあらわし、勢至菩薩は智慧をあらわす。 A頭上の髻の正面に観音は阿弥陀の化仏を表し、勢至は 水瓶を表す。 B古い作例としては東京博物館の銅造阿弥陀如来及両脇 侍像や法隆寺の橘夫人念持仏などが上げられる。 (2)作例 @国宝 法隆寺(橘夫人念持仏)、中尊寺、清凉寺、仁和寺 三千院 、浄土寺 A重文 法隆寺金堂、法隆寺伝法堂、 浄楽寺、證菩提寺、 東博(銅造阿弥陀如来及両脇侍像)、甲斐善光寺、 光触寺、金剛峯寺光台院、願成寺、三室戸寺、 長講堂、長岳寺、龍岩寺 B単独 東大寺(ミュージアム・俊乗堂・勧進所)、広隆寺、興福院 慈恩寺、岩船寺、真正極楽寺、観世音寺、平等院、 法界寺、浄瑠璃寺、法金剛院、願成就院 2. 宝冠阿弥陀如来 (1)形態 @宝冠阿弥陀は天台宗の基本的な修行四種三昧の1つで ある常行三昧を修する常行三昧堂の本尊である。 851年、慈覚大師円仁 によって唐からもたらされた。 A如来形だが螺髪とせずに結い上げ、衣は通肩にまとい 手は定印を結ぶ。 (2)作例: 浄光明寺、悲田院、英勝寺、耕三寺、梵釈寺 3. 善光寺式阿弥陀三尊(一光三尊形式) (1)形態 @1枚の舟形光背で三尊の背後を覆う。 A阿弥陀如来:左手刀印。右手施無畏印。 B 両脇侍:胸前で両手の掌を水平にして重ね梵篋印 (ぼんきょういん)を結ぶ。 (2) 作例: 甲斐善光寺 、向徳寺、東京博(法隆寺宝物館)、 円覚寺、東京博(いわき市) |
1) 法蔵菩薩 衆生救済のために王位を捨て世自在王仏のもとで法蔵菩薩と名乗り修行 する。衆生救済のため浄土建立を決意し五劫思惟し、浄土の姿となる 「四十八願」の誓いを立てた。修行して成仏する報身仏となる。 無限の光明で衆生を永遠に救うため現在も仏国土である「極楽」で説法を している。 2) 阿弥陀 四十八願 第12願:光明によって人々を救うために無量の光明を持つ仏になる。 第13願:永遠に人々を救うことができるように 無量の寿命を持つ仏になる。 第18願:阿弥陀を唱える人々に極楽往生を約束する。 第19願:衆生が臨終時に極楽往生できるように浄土から迎えに 行く。 第35願:女性も必ず往生できる。 3) 浄土真宗 釈迦が人間世界に出生したのは、弥陀如来の本願を説くためであると説く。 四十八願のうち最も大切な誓願が本願と呼ばれる第18願である。 4) 第18願他力本願 「極楽世界に産まれたいと望む者が十回の念仏をしてその者が極楽に産ま れないのであるならば私は仏とはならない」。 修行もできず、罪を重ね続ける極悪人でも十回以上の念仏を唱えるだけで 極楽往生出来ると説く。 他力本願の教えで南無阿弥陀仏と唱えれば、弥勒菩薩と同格になり、救わ れる。 5) 別名:無量寿如来 無量光如来。 6) 西方浄土 : 阿弥陀如来を教主とする煩悩のない世界、安寧と喜びに満ちた極楽。 7) 阿弥陀の九品印:(印相図解2) (1) 手の位置 :3品(上品、中品、下品) @上品 (定印):両手をへその前で組む。 A中品(説法印):両手を胸前に上げる。掌は外に向ける。 B下品(来迎印):右手は胸前に上げ、左手は下げる。掌は外に向ける。 (2) 指の組合せ:3生(上生、中生、下生) @上生:親指と人差指をあわせて輪を作る。 A中生:親指と中指をあわせて輪を作る。 B下生:親指と薬指をあわせて輪を作る。 (3)江戸時代の俗説 @極楽浄土に往生する者の信仰の程度を上中下に分けて九品印 と関連付けることは、近世に考案された俗説と云われる。 A九品印を説く儀軌はなく,近世以前には九品印に基づいて造像 された仏像はない。 |
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1. 薬師三尊 (1)形態 @薬師如来を中尊とし、日光菩薩を左脇侍、月光 菩薩を右脇侍とする三尊形式である。 A奈良・薬師寺の金堂本尊像は、日本における薬師 三尊像の古例である。 B中尊を坐像、脇侍を立像とするのが一般的だが、 法隆寺大講堂像のように、中尊、脇侍ともに坐像と する場合もある。 C中尊が薬師如来以外では和歌山・道成寺の本尊 千手観音像の脇侍は日光・月光菩薩と呼ばれる。 2. 薬師の印相:(印相図解3) (1)右手施無畏印、左手与願印に薬壺を乗せる。薬指を折 り出す。 (2)三界印(薬師の来迎印)。 (3)法界定印では掌の上に薬壷を乗せる。 3. 作例 @国宝: 法隆寺講堂、薬師寺金堂、勝常寺、醍醐寺霊宝館 A重文: 興福寺東金堂、東寺金堂、醍醐寺金堂、慈恩寺、覚園寺 日向薬師宝城坊、多田寺、豊楽寺 B単独: 唐招提寺、新薬師寺、奈良博物館、法輪寺、延暦寺 神護寺、獅子窟寺、因幡堂、大蓮寺、仁和寺、広隆寺 |
1) 大医王 現世に今生きる人々に病気・障害を治し寿命を伸ばし衣食を満たし利益を もたらす薬師で「医者の王」である。 如来になる前に,あらゆる病気や障害を除きたいという十二の誓願を立て 浄瑠璃浄土建立を願う。 2) 薬師十二願
3) 除病安楽 薬師十二願の本質は、第七願の衆生から病気や苦しみを取り除き安楽な 状態に導き精神上の解脱を促す除病安楽にある。 その他の十一の大願は、第七願の示す状態を得るために、心身に満足を与 える準備段階となる。 4) 脇侍・眷属 左脇侍脇日光菩薩、右脇侍月光菩薩。 眷属:十二神将。 5) 東方浄土:現世の楽園で女人も悪人もいない浄瑠璃世界。 6) 国家護持 現世利益を司る数少ない如来であることから、延暦寺、神護寺、東寺、 寛永寺のような国家護持の祈りを担う密教寺院では薬師如来を本尊とする。 |
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1. 蓮華蔵世界 (1)毘盧遮那仏は 千の花弁を持つ蓮華の上に坐している。 (2)千の蓮弁それぞれに、100億の釈迦を中心とした仏国 土がある。その10兆世界で各々大小の釈迦が法を説く。 (3)大乗仏教では無数の仏・菩薩が生じたが、その統括者と して廬舎那仏が生れたとする。 2. 盧舎那仏三尊 (1)形態 @東大寺では如意輪観音と虚空蔵菩薩であり、唐招提寺 では薬師如来と千手観音が脇侍となっている。 3. 印相:(印相図解4) (1)右手:施無畏印 (2)左手:与願印 4. 作例 東大寺大仏殿、唐招提寺金堂、戒壇院(単独) |
1)仏法理論: 釈迦は真理を知って、それを仏法理論として人々に伝えたが、その真理 そのものを神格化、本仏化したものが毘盧遮那仏である。 2) 法身仏: 宇宙の真理をあらわし太陽のようにその中心にあり全宇宙を照らす法身仏 (本仏)である。本仏が化身した如来、菩薩、明王等が人間界で直接教え を説く。 3) 脇侍:虚空蔵菩薩、如意輪観音。 4) 大仏台座連弁:: 東大寺大仏の台座蓮弁28枚に残された線刻図には、華厳経の教えに基 づく蓮華蔵世界が彫られている。上中下3段からなる。 上段:説法する如来像を大きく刻み、左右に十一体の菩薩像が描かれる。 中段:横線25段で区切り無色界・色界・欲界の三つの天上界が現わされる。 下段:七つの蓮華の各々に百億世界を象徴する須弥山が配されている。 |
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1. 金剛界・ 胎蔵界 (1)密教世界 @胎蔵界に包まれた万物は、金剛界大日如来の智慧に よってさまざまな存在現象 としてあらわれる。胎蔵界は 「静」、金剛界は「動」である。 (2)金剛界 @森羅万象はなにものにも搖らぐことのない大日如来の 無上の智慧が創り出したと考えられる。 A金剛とは、大日如来の智慧がなにものにも傷つかな いことをあらわす。 (3)胎蔵界 @宇宙の一切の存在や現象は母胎のような大日如来 の無限の慈悲に優しく包 まれている。 2. 五智如来宝冠・装身具 (1)五面に金剛界五仏を打ち出す宝冠を被る。 (2)一般に如来は装身具を身に着けない薄衣の姿で表現さ れるが、大日如来は宇宙そのものを豪華な装身具に見 なして身にまとう。特に王者の姿で表 される。 3. 印相:(印相図解5) (1)金剛界:智拳印 (2)胎蔵界:法界定印 4. 作例 (1)金剛界: 東寺講堂、金剛峰寺、臼杵磨崖仏、円成寺、金剛寺、 横蔵寺、半蔵門ミュージアム、奈良博、東博、放光寺、 霊山寺、ボストン美術館 (2)胎蔵界:上原美術館、龍蔵寺、向源寺、 竹林寺 |
1) 法身仏 毘盧遮那仏と同一仏で密教が発展させた釈迦の仏法教議を体現化した 法身仏。 全宇宙の神格化の中心で釈迦を含むあらゆる諸仏は大日如来の化身と なる。 万物の慈母であるとともに宇宙の真理そのものである。 描かれ方には金剛界と胎蔵界の2種類がある。 2) 金剛薩タ 大日如来の教えは金剛薩タが仲介役となり如来、菩薩、明王等を通じて 人々に流布される。 3) 即身成仏 修行者が肉身のまま曼荼羅等を用いて修法を行い悟りの境地に達し仏に なれる。 4)曼荼羅 密教で悟りを開く修法のために生まれた絵。密教の世界 観をビジュアルで表現。 @金剛界曼荼羅: 大日如来の揺るぎない無上の智慧や道徳が現れた悟り の世界を図絵化(動)したもの。月輪を組み合わせた絵 柄が特徴で、9つの曼荼羅を1つにまとめた構成から九 会曼荼羅の別名がある。 A胎蔵界曼荼羅: 慈悲で子が母胎で育つように悟りの本質を育む世界を図 絵化 (静)したもの。中央に描かれた人間の心臓をあらわ す赤い蓮の花、その中に大日如来や菩薩が描かれてい るのが大きな特徴である。 |
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(1) 阿シュク如来 (東方) |
@阿シュクとは、何事にも動じないものを意味する。 東方にある阿比羅台という世界で、怒りの心をなく して悟りを開く。東方の如来で薬師如来と同一視。 A印相:右手降魔印・左手衣端握る。 B利益:病気平癒や無病息災・滅罪 |
大円鏡智: 明鏡止水の如く素直に映す鏡のように正しい判断ができる智慧。 できる限り先入観なしに"そのまま"人や物事をみる。 |
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(2) 宝生如来 (南方) |
@肌は金色とされ、一切の財宝を司る。宝物や財 宝を生み出し福徳を授ける。 A印相:右手与願印・左手衣端握る。 B利益:福徳、病気平癒 |
平等性智: 自他が根本的に差別のない同一の存在であることを知る智慧。 出会う人や物事に対して"同じところ、似ているところ"を見つける。 |
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(3) 阿弥陀如来 (西方) |
@西方の浄土の教主。 A印相:両手のひらを重ねて瞑想を意味する定印。 B利益:現世安穏、極楽往生 |
妙観察智: 教化の対象を偏見を持たず客観的に把握し的確な説法を行う智慧。 すべてに対して"違うところ"を見つける。 |
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(4) 不空成就如来 (北方) |
@完成(成就)をかならず(不空)得るもの。 釈迦如来と同体と言われる。 A印相:右手施無畏印・左手衣端握る B利益:智慧聡明 |
成所作智: 以上三智慧で状況を把握した上で 何をどうなすべきかを理解する 智慧。実際の行動、活動をやってみる。 |
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(5) 大日如来 (中央) |
@命あるもの全てを生み出し、宇宙の真理、森羅 万象でもある。 A印相:智賢印 B利益:現世安穏、所願成就 |
法界体性智: 上記の四智を総動員することで物事の絶対真理を獲得し受け取る 智慧。即ち@そのまま見る。A共通点を探す。B違うところを見つけ るC行動する。 以上のことから、元々、結びついている全体を知る智慧。 |
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1) 弥勒菩薩(広隆寺) | 1) 半跏思惟像: 左足を踏み下げ、右足をその膝の上に組んで 坐り、右手を頬に添えて思案する仏像。 (作例) 広隆寺、中宮寺、野中寺 2) 菩薩像: 五輪塔が定印手の上や左手でにぎる 水瓶上に乗る。 (作例) 醍醐寺三宝院、室生寺弥勒堂、ボストン美術館 3) 如来像:与願・施無畏印。 ※法相派は弥勒を如来と呼ぶ唯一の仏教宗派。 (作例) 当麻寺金堂、興福寺北円堂、慈尊院、 薬師寺講堂、東大寺試みの大仏、大楽寺 |
1) 弥勒: 古代インドではマイトレーヤと呼ばれ、慈悲から生まれた救世主である。 2) 如来降臨: 釈迦入滅後56億7千万年後に仏となり空海が付き添ってこの世に現れる。 現在は兜率天 (欲界第四天)で説法修業中。 3) 上生信仰: 自力で死後に兜率天の弥勒のもとに往生することを願う。平安後期末法 思想の広がりで極楽往生を約束する阿弥陀に信仰が集まり衰退する。 4) 下生信仰: 後世では弥勒の下生が今なされるからそれに備えようと世直し一揆運動と 連動する。救世主の降臨を願う白蓮教徒の乱などがある。 5) 北方浄土: 兜率天には内外の二院があり外院は天衆の欲楽処、内院は弥勒菩薩の 兜率浄土。 |
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2) 文殊菩薩(興福寺) | 1) 脇侍:釈迦の左脇侍で智慧を担当する。 2) 台座:獅子座(智慧の強さ) 3) 持物: @ 右手智慧の象徴宝剣・左手経巻 A 右手梵篋・左手金剛杵 B 頭頂に経箱を載せる 4) 団子髷:
@釈迦三尊脇侍:法隆寺上御堂 A単独:清凉寺、興福寺東金堂 |
1) 知恵・慈母: [三人寄れば文殊の智恵]の諺にあるように物事を正しく見極める判断力を 養う「智慧」を司る。 非人救済などの慈善事業を司るほか真言律宗では慈母供養の象徴である。 2) 維摩文殊問答: 在野の仏教者である維摩居士の病気見舞いで文殊菩薩が相対した造形が 多数ある。 3) 渡海文殊像: @獅子に乗り 従者(優填王、善財童子、仏陀波利三蔵)を連れて日本に向う。 A作例:渡海文殊:西大寺、安倍文殊院、中尊寺讃衛蔵 |
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3)普賢菩薩 (大倉集古館) | 1) 脇侍:釈迦の右脇侍で修行を担当する。 2) 台座:@白象座(聖獣である象神ガネーシャ) A普賢延命菩薩:四頭白象座 3) 印相:@合掌印 4) 持物:普賢延命菩薩の2臂像 @左手宝剣を立てた蓮茎/ A左手に五鈷鈴・右手に五鈷杵 5) 臂数:二臂像、 二十臂像(普賢延命菩薩) 6) 作例: @釈迦三尊脇侍:法隆寺上御堂、 A単独:大倉集古館、清凉寺、 B普賢延命菩薩:竜田寺、大山寺 |
1) 吉祥利益: 一切にわたる最もすぐれた善を説き吉祥利益をもたらす菩薩。 密教では菩提心(真理を究めて悟りを求める心)の象徴とされ、同じ性格を 持つ金剛薩タと同一視される。 2) 女人成仏: 女人守護神で女性の信仰を集める。 3) 普賢延命菩薩: 寿命をのばす御利益のあり天皇の延命祈願の本尊。 4) 眷属: 十羅刹女(元々鬼神であるが仏法に帰依した善神)。 |
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4) 虚空蔵菩薩(広隆寺) | 1) 脇侍:釈迦の右脇侍。 2) 印相: @法界定印 A与願印 3) 持物: @右手与願印・左手宝珠を載せた蓮華茎 A右手宝剣/三鈷戟・左手蓮華茎 4) 宝冠:多仏宝冠か五智宝冠 5) 作例: 広隆寺、東大寺大仏殿、文化庁 |
1) 記憶力: 広大ですべてのものを包み込む虚空の蔵から智慧や記憶力、知識を 取り出し人々に与え願いを叶える。 空暗記、そらんじるなどの言葉は虚空蔵菩薩の空から来ている。 2) 虚空蔵求聞持法: 空海・日蓮 が実践する。一定の作法に則って真言を百日かけて百万回 唱え修した行者はあらゆる経典を記憶し理解して忘れる事がなくなる。 |
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6) 地蔵菩薩(藤田美術館) | 1) 外見:僧侶の姿、白毫、袈裟を身にまとう。 2) 印相:@右手与願印 3) 持物: @右手錫杖・左手宝珠 A右手素手・左手宝珠 4) 作例: 法隆寺宝蔵院、東大寺公慶堂、広隆寺、安産寺 六波羅蜜寺、藤田美術館、 |
1) 無仏時代: 大地が全ての命を育む力を蔵するように、苦悩の人々を無限の大慈 悲の心で包み込む。釈尊が入滅してから弥勒菩薩が成仏するまでの 無仏時代に六道すべての世界に現れて衆生を救済する。 2) 地域の地蔵: @子安地蔵:妊婦の安産を守護する。 A身代わり地蔵:災難にあった人の苦しみを身代わりになり引き受ける。 B地蔵道祖神:村の境界や道の辻を守る。 C六地蔵:輪廻転生する六道世界で、苦しむ人々を救うために六体の 地蔵を並べる。 3) 賽の河原: 幼くして亡くなった子供は三途の川を渡れず、賽の河原で獄卒に責 められ親のために石を積み上げる。その子供を地蔵菩薩が救う。 中世より仏教歌謡「西院河原地蔵和讃」を通じて広く知られる。 |
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7) 観音菩薩 (別掲)
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1) 聖観音 | 1) 阿弥陀如来の左脇侍で宝冠に化仏をつける。独尊としても信仰される。 | |||||||||||||||||||||
8) 勢至菩薩(清凉寺) | 1) 脇侍: @阿弥陀如来の脇侍 A右脇侍・勢至菩薩・阿弥陀の智恵を受けもつ。 B左脇侍・観音菩薩・阿弥陀の慈悲を受け持つ。 2) 印相: @右手胸印 A合掌印 3) 持物:左手蓮華 4) 宝冠: 知恵の水が入る宝瓶を頭上の髻の正面に付ける。 5) 作例: 法隆寺金堂、清凉寺、仁和寺、三千院、長岳寺 浄土寺、浄楽寺 |
1) 三悪趣: 三途の世界(火途・地獄道、血途・畜生道、刀途・餓鬼道)で苦しむ亡者 を知恵を持って救い仏道に引き入れ正しい行いをさせる。 2) 勢至堂: 法然は勢至菩薩の化身として知恩院に勢至堂が建てられる。 3) 阿弥陀来迎図: 阿弥陀如来が観音や多数の奏楽・供養菩薩などを率いて 雲に乗り極楽 浄土から臨終の人々を迎えに来る来迎図では、勢至菩薩は合掌し観音 とともに聖衆の先頭部に現れる。 4) 大勢至菩薩: 力が強く、足を踏み下ろすと大地が揺れるという怪力の持ち主。 |
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9) 日光・月光菩薩(東大寺) | 1) 脇侍: 薬師如来の脇侍 @日光菩薩・左の脇侍 A月光菩薩・右の脇侍 2) 印相: @日光・右手で施無畏印 A月光・左手で施無畏印 3) 持物: @薬師寺,東大寺等にある初期の像には 持物なし。 A平安以降は日輪・月輪を持つ。 4) 作例: 東大寺ミュージアム、興福寺東金堂、薬師寺 東寺金堂、醍醐寺、勝常寺、神護寺、道成寺 宝城坊 |
1) 日光菩薩: 一千もの光明を発し天下を照らし諸苦の根源たる無明の闇を消滅させる。 2) 月光菩薩: 月のような清涼で優しい慈しみの心で煩悩を消す。 3) 薬師如来: 両菩薩は、薬師如来の使命である病苦から救う現世利益の実行を助け、 世の中の不安を鎮めるための正しい教えを守り助けることが役割となる。 4) 浄瑠璃世界: 薬師如来の浄土東方浄瑠璃世界で は月光菩薩、日光菩薩は最も位 の高い菩薩になる。 |
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10)薬王・薬上菩薩(興福寺) | 1) 脇侍: 釈迦如来の脇侍 @薬王菩薩・右の脇侍 A薬上菩薩・左の脇侍 2) 印相: @片手は肩まで上げ薬草を掴む。 A一方の片手は足元に下ろす。 3) 作例: 法隆寺金堂、興福寺中金堂 |
1) 菩薩: 元来、薬王・薬上菩薩兄弟はインドの長者で人々に薬を与えた功徳に より双方とも菩薩になる。 2) 八大菩薩: その性格が薬師如来に近いため、両菩薩は薬師如来の八大菩薩に数 えられ、阿弥陀二十五菩薩にも加えられる。 3) 焼身: 薬王菩薩は前世において仏への最高の供養として自らの生命を捧げる。 妙香を服し香油を見に塗って身を燃やした、その火は1200年にわたって 燃え続け世界を明るく照らした と言う。 後年の僧侶による抗議の焼身自殺の起源となったとも言われる。 4) 最澄: 日蓮宗では、天台智、伝教大師最澄の本地を薬王と薬上であるとする。 |
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(1) 金剛波羅密菩薩
(中央) |
1) 印相:右手掌上・左手触地印 2) 化身:大日如来の近侍 |
1) 阿しゅく如来と同じく五指を伸ばし地に向ける降魔印を結ぶ 。 2) 金剛堅固な菩提心を象徴し智慧で衆生を仏道に導く。 |
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(2) 金剛薩た菩薩 (東方) |
1) 持物:右手五鈷杵・左手五鈷鈴 2) 化身:阿しゅく如来の近侍 |
1) 金剛(ダイヤモンド)のように堅固な悟りを求める心を持ち人々にも そうした気持ちを起こさせ大日如来の教えを伝授する。 普賢菩薩と同体と言われる。 2) 釈迦の警護役、大日如来の通訳仲介者等大役を努める。 3) 真言密教の継承者で第2祖 、空海は第8祖。 |
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(3) 金剛宝菩薩 (南方) |
1) 印相:右手与願・左手胸前で人差指と中指 で輪を作る。 2) 化身:宝生如来の近侍 |
1) 虚空蔵菩薩のように福徳と智徳の両得を備え衆生に福徳をもたらす。 | |||||||||||||||||||||
(4) 金剛法菩薩 (西方) |
1) 印相: 右手施無畏・左手金剛印(拳) 2) 化身:阿弥陀如来の近侍 |
1) 聖観音と同じように衆生の苦しみを救う慈悲の徳を司り、迷いある衆生 を悟りに導く。 |
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(5) 金剛業菩薩 (北方) |
1) 印相:右手施無畏・左手与願 2) 化身:不空成就如来の近侍 |
1) 一切如来(大日如来を中心とした五智如来)に対する供養の業を行 なう仏尊とされる。衆生から迷いを取り除く。 |